2018年7月27日
さまざまなホルモンのバランス

体の中には、様々なホルモンが存在します。
数百種類以上あることは確かです。
実際には、分解された副産物のホルモンもあるし、未だに発見されていないホルモンもあるでしょう。
特に、脳内にあるホルモンには、未知あるいは未開拓の重要なホルモンが存在している可能性があります。

いろいろあるホルモンの内で、特に脳に関して重要な働きをしているホルモンがあります。

セロトニン
ノルアドレナリン
ドーパミン

これらは、人を快活にさせます。

現在、治療薬としてよく用いられることが多いのは、脳内のセロトニン濃度を高めるものです。
このタイプの薬は、セロトニンを補充するのではなく、分解されるのを妨げることにより、濃度を上げる仕組みとなっています。

セロトニンは、消化器にも作用しますので、胃もたれや、ひどくなると、吐き気が出てくる可能性があります。
しかし、これには個人差がありますので、みんなというわけではなく、一部の人に起こる可能性があります。

セロトニンは、気分を高めるだけでなく、不安も少なくします。
また、パニック症状を抑える働きもあるため、薬との相性のよい方は、奏功します。

ノルアドレナリンは、気分の向上や意欲を高める働きがあります。
最近では、セロトニンとともにノルアドレナリンの脳内濃度を上昇させて、より意欲を高める工夫をしている薬も出ています。

そう聞けば、セロトニンとノルアドレナリンの双方に効く薬の方がいいようですが、現実には、必ずしもそうではありません。
必ず、ノルアドレナリンが高まるとも言えず、また大がかりな解析調査をしても、どちらがよいのかという軍配は上がっていません。

ドーパミンも意欲を高めて、しあわせな気分をもたらす働きがあります。
現在、軽くドーパミンの分泌を促す薬はありますが、十分に効果があるほど分泌を促す薬はありません。

いえ、正確に言えば、少し異なります。
ドーパミンの分泌を促す薬物は存在します。

では、なぜ、その薬が実用化されないのか?

その代表例が、「覚醒剤」だからと言えば、お気づきになるでしょう。
ドーパミンを注入することによって、快活になります。
眠気もとんで、疲労感も消失します。
頭も(一時的に)冴えて、多幸感を味わいます。

しかし、よい時は長続きしません。
薬の効果がきれたら、以前より、激しい疲労が襲ってきます。

その疲労感や消失した幸福感を解消しようと、また投与すれば、一時的には改善します。
しかし、効果の持続期間は短くなり、投与量も増える傾向にあります。

つまり、依存してしまうのです。

依存してしまった体と精神は、また薬を求めて、やまなくなります。
そうして、覚醒剤中毒が形成されることになります。

ドーパミンは、適度な濃度で、脳内に存在する場合は、よいのですが、過剰に分泌されると話は別です。
幻覚や妄想などが出現します。
正常な意識が保たれなくなります。

こうした状態が長く続くと、やがて、廃人となっていくのです。

人を安全に元気にしてくれる人は、限られています。

一般に即効性のある薬は、依存性をもたらすことが多くみられます。
そういうところが、早く効いて、安全な薬が開発できない理由の大きな要因となっています。