2018年12月22日
オプジーボの功罪

オプジーボという、抗がん剤がある。
適応のある癌は、数種類に限られてはいるが、特有の薬として、使用されている。

免疫力を高めながら、がん細胞を攻撃するため、効果が高いと言われている。
いわば、期待の薬である。

この薬の元になる、「PD-1」遺伝子を1992年に本庶佑(ほんじょたすく)氏らの研究グループが発見した
それが、今回、日本人のノーベル医学生理学賞を受賞する理由となった。

今後、日本人のノーベル賞が減少する可能性を考えているため、喜ばしいことだ。
ただ、彼らは、過去の人で、これからの若者で、このような賞を受賞するようになるかは分からない。

賞の受賞はないが、日本で開発されて、世界の市場で売れている薬が他にもある。

もう、特許切れになったが、

●アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬として開発された塩酸ドネペジル(アリセプト)=エーザイ開発

●統合失調症、躁うつ病、自閉症スペクトルなど幅広い精神疾患に使うことのできる、アリピプラゾール(エビリファイ)=大塚製薬開発

などがある。

医療や薬の先進国としての一を保つためには、そのような薬がでないと、やっていけないだろう。

さて、冒頭のオプジーボジの話に戻る。
この、オプジーボには、思わぬ弱点がある。

薬価が高いことである。
100mg1瓶が、73万円もする。
これを1クール行うと、1000万円以上の費用が発生する。

普通自費で行うことはなく、高額医療は、健康保険が負担するから、そのほとんどの費用は、国が負担することになる。

よって、財政が逼迫している国は、薬価を半分の約36.5万円に引き下げを行った
これまで、通常薬価は2年に1度の見直しであったが、軒並み1年に一度の変更と変わった。
さらに、このオプジーボのような薬は、特例で、見直し回数を増やしてもよいことになっている。

医療費を高騰させないための手段として用いている。
ただ、薬価が削られると、製薬会社の売上および利益が減ると考えられるため、新薬開発のための基礎体力を奪うことがないかを懸念する

日本の医療は、費用負担の面で、アメリカと比較すると、とても緩い。
また、他の外国人にも適用する範囲が広いため、甘い。

(世界的にみて)弱者にやさしい、日本の福祉制度。
これもよいところと、「ざる」の面がある。

今後の動向を見つめていくことにする。