2019年5月11日
トランプ氏を大統領の導いたのは、絶望?

米コロンビア大学のLee Goldman氏らの研究結果

2016年の大統領選挙に関することです。

健康状態の悪化や早期死亡率の高い地域で、トランプ氏への投票率が増加した可能性が指摘されています。

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共和党の支持率が増えた群では、民主党の支持率が増えた群と比べ、年齢調整死亡率が15%ほど高かった。

共和党が勝利した郡では、アルコールや薬物、自殺を原因とした死亡者数が、民主党が勝利した郡の2.5倍であった。

Goldman氏は「死亡率は不満や落胆、絶望感の重要なマーカーである可能性がある。また、文化的な超越性(cultural displacement)に対する恐怖心が、特に都市部以外の地域に住む白人労働者をトランプ大統領の支持に向かわせたと考えられる」と述べている。
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「Journal of General Internal Medicine」 2018年9月5日オンライン版より

2016年10月での米国の雰囲気

私は、大統領選挙前の2016年10月にニューヨークに数日間、滞在していました。
滞在ホテルから、5番街のトランプタワーまで、徒歩圏でした。

プラザ合意が行われたブラザホテル、トランプタワー、セントラルパーク、ティファニー本店などを目の当たりにしました。

メトロ美術館を案内してくださったガイドさんは、アメリカンドリームを夢みて渡米しましたが、30年もの間、芽の出ない生活をされておられました。

当時、世論では、ヒラリー・クリントン氏の勝利が濃厚と考えられていました。
ちょうど、大統領選挙の直前だったため、そのことをガイドさんに告げると、
「分かりませんよ。案外、トランプさんが勝つかもしれません」
と、どちらかというと、トランプ氏寄りの発言をされました。

私がいたホテルでも、政治と関係のあると思われるスーツ姿の集団が、ロビー会のレストランで、(日本でいう)飲み会を開いて、大きな声で雑談していました。

さらに、トランプ氏に反対するデモ集団が、プラカードを持って、ホテル内に押し寄せてきました。
ロビー階での異様な喧噪に驚きましたが、ほどなく、屈強な警備によって、押し返されました。

景気が拡大している中でも、民衆の不満を肌で感じました。

農村部の保守派では、今でも支持層が厚い

農村では、トランプ氏支持が強いようです。
また、以前は口にしなかった隠れトランプ支持層も今は、物を言いやすくなりました。

トランプ氏は、今までにないタイプの大統領で、国内だけでなく、しばしば海外をも驚かせます。

よくも悪くも、トランプ氏は、公約を愚直に守ろうとしている行為は、過去の大統領にはみられなかったことです。
嘘のようなメキシコの壁も実現化しています(意味があるかどうかは不明ですが)。

政治家で、大きな公約を実現している方をほとんどみません。
それは、大きな圧力に見舞われ、屈していることもあると思われます。

公約を実現するには、ある意味、「破壊者」たる必要があるのかもしれません。
日本で言えば、「織田信長」を彷彿させます。

農村の保守的なキリスト教徒の発言が印象的です。

「神は、よきことをなすために、時として、悪い人間をつかわせることがある」
(2019年5月4日 朝日新聞の記事より・・・京都の旅の宿より拝読)