2019年4月3日
アミノ酸をとると、元気になる?

アミノ酸を合成できない、あるいは、代謝できないと、重篤な病気にかかります。
新生児が先天的にアミノ酸代謝異常を持っている場合、体の病気以外に、精神遅滞なども発生しやすくなります。
だから、これらの先天性疾患を早期に見つけるため、新生児の時点で、尿検査を行っています。

アミノ酸を過剰に脳に入り込むと、神経毒性を持ちます。
グルタミン酸でも、そうした検証がなされています。

参考文献:田中光一、毒性のメカニズムと症候、グルタミン酸、CLINICAL NEUROSCIENCE vol.35 no.12(2017‒12)

一方、アミノ酸がとれないと、どうなるのか?
人には、20種類のアミノ酸があります。
その内の約半数、9種類は、体内で作り出すことができません。
食事からとることが不可欠なため、「必須アミノ酸」と呼ばれています。

必須アミノ酸:フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、ヒスチジン

それ以外のアミノ酸は、体内で合成できますので、食事から摂取しなくても生きていけます。

セロトニンなど、脳を活性化するホルモンは、アミノ酸から作られます。
そのため、セロトニンを作る前駆物質となるアミノ酸が必要となります。

上記の必須アミノ酸のうち、トリプトファンが代謝されると、セロトニンが生成されます。
セロトニンは、気分を活性化する、不安を少なくするなどの作用があるため、抗うつ薬にもセロトニンを増加させる薬剤が複数あります。

セロトニンと不安

一方、トリプトファンを体外から摂取しようとすると、豆類やヨーグルト、バナナなどから取り入れることができます。
ただし、トリプトファンは、大量に摂取すると、肝障害などを来すことがあるため、異常にこだわって取り過ぎない方がよいようです。

一方、別の脳内ホルモンで、ドーパミンなど、気分をよくする物質は、チロシンというアミノ酸から作られます。
チロシンは、少々取り過ぎたからといって、ドーパミンを過剰に増やすということはなく、一定量以上、体に入れば十分です。

通常、アミノ酸は、必要な食事をとっていたら、足りなくなるわけではありません。
ただ、極端に偏っていると、「必須アミノ酸」と言って、自分の体で合成できないアミノ酸が足りなくなる恐れがあります。

ある方が、アミノ酸サプリを服用すると、一時的に元気になったと言われました。
しかし、その後、効かなくなって、受診されました。

サプリは多くの人が服用していますが、お金がかかるだけで、いいのかどうか不明なところがあります。

現実に食物では起こらないと思いますが、ドーパミンは、適量分泌されると元気になります。
しかし、過剰摂取は、厳禁です。

覚醒剤は、ドーパミンを著しく増加させる働きがあるのです。
ホルモンは、多すぎても、少なすぎても、支障があるということです。