2022年9月21日
人口オーナス

人口オーナスという言葉を知っていますか?

現在の日本は、まさに、それです。
労働人口が減り、扶養しなければならない人(退役した高齢者)が増えたことです。

戦争中は別にして、大戦後、日本の出生数が増えました。
戦後なので、「産めよ、増やせよ」と合唱していたかどうかは知りませんが、「貧乏の子だくさん」が戦後の日本の姿でした。

特に、団塊の世代と言われる数年間の出生率は高くなりました。
今は、団塊の世代のほとんどは、引退しています。

この人口の大きな世代がすべて75歳以上の後期高齢者になる年が2025年です。
「2025年問題」で検索すると、大まかなことが分かるでしょう。

以前から、高齢者の施設の入所待ちは多く見られます。
その状況がさらに逼迫するということです。

高齢者は多いけれど、介護する人は減る。
社会保障費は増えるけど、税収は減る。

結果は、どうなると思いますか?

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薄々感じていたけれど、失言癖のある政治家が語った、年金2000万円問題もその1つです。

若い人から税を徴収しても十分な年金を賄うことができないから、自分で1人当たり、2000万円を用意しておかないと、厳しい老後を迎えるということです。

また、2025年からしばらくの間、介護される人が多くなり、介護する人が減少するため、人手不足になるということです。
医療も介護も手が回らなくなります。

こうしたことが人口オーナスの怖さです。
つまり、国が疲弊して、凋落するということです。

日本は、先進国でありながら、30年間、所得が増えていない唯一の国です。
新興国でも年に数%の成長を遂げています。

アフリカというと、貧しさを想像する人が多いでしょう。
もちろん、貧しい地区も残っていますが、現在は、もっと豊かになっています。
携帯を持っている人の数も増えました。

他国では、もっと革新的な技術を取り入れていますが、日本はガラパゴス+α という具合です。

アメリカでは、現在、使われなくなった過去の遺産博物館にFAX送信機が展示されています。
日本では、今でもよく使われています。

携帯でもスマホに置き換わっていますが、分かりやすいガラケーを求める人は、それなりにいます。

現代の日本の産業は、日本独自の国風文化を生み出したものと正反対にあるのでしょう。

産業の米と言われる半導体も、一時は日本が先頭に立っていましたが、今は、アメリカのみならず、韓国、台湾の後塵を拝することになってしまいました。

国民の意識が世界の中で遅れていることと、若年者の減少、高齢者の増加は、相関関係があると考えています。

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昭和の中期は貧しかったけれど、「貧乏の子だくさん」が、労働生産人口を増やしました。

これを「人口ボーナス」と呼びます。

日本が発展した鍵の大きな要因は、ここにもあるのです。

人口で言えば、世界で一番の国は中国でした。
人口比に基づいて、世界麻雀大会を開いたら、1/4が中国人なので、各卓に1人中国人が配牌する比率でした。
しかし、現在の中国も出生率の低下により、人口オーナスに見舞われています。

ここに来て、人口世界一の国は、前倒しにインドにその座を譲ることになりました。
人口規模では、そこまで大きくありませんが、インドネシアの人口構成比も若者が多い、よい形になっています。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。盛者必衰の理をあらはす」

日本は、ゆっくり平家のように衰退する道を辿っているように思います。