2023年3月31日
尾道ラーメンの転換期

尾道ラーメンは、戦後間もない頃、朱華園という店から始まりました。

その店は、休日は、開店前から行列。
長い列は、100mを超えることもありました。

80歳くらいまでやっていた初代に代わって、2代目が継いでも好調は続きます。
尾道は、観光都市ですから、地元民より観光客の方が多いかな。

その後、3代目とおぼしき30代くらいの人物が店内配送と麺きりなどの修行をしていました。

しかし、2代目が病気(おそらくガン)になって、店を存続させることができなくなりました。

下を唸らせる味を出すためには、数々のノウハウがあるのでしょう。
少なくとも半年は実務修行を行いましたが、以前の味を再現することができませんでした。

それにより、朱華園は、廃業となりました。
せっかく後継者がいたのに、時間が足りなかったようです。

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出典:Google

その後、2年くらいして、店から200mほど離れた海沿いに「朱」という店が開店しました。

朱華園の朱だから、その後継店と考えて入りました。
なにせ、朱華園の入り口には、
檀一雄が、「尾道に行った時、朱という店にはおそれいった」
と書いている文章を壁掛けにしていました。

さて、新しい「朱」という店です。
結構、期待しました。

食券を買って注文して、着丼した時点では分かりませんでした。

…しかし、何かが違う。
…いや、全然違う。
…すべてが違う。

スープの味は似せている。しかし、コクがない。
尾道ラーメンの特徴である、背脂は、本来、甘くておいしい。
しかし、朱の背脂はこげた感じで旨みがない。

チャーシューは、にがい、まずい。

「ああ、客に出すレベルではないとは、こういうことか」

妙に腑に落ちました。

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映画監督の宮崎駿さんが、息子さんが作った「ゲド戦記」の試作品をみて、15分で外に出るというシーンがTV放送でありました。

実は、私の家族も「ゲド戦記」を観に行ったけれど、ちょうど15分くらいで、外に出たくなりました。
そして、コナンやハウルは最後まで観る、小学校前の子どもが、「帰る、帰る」とごねました。

なだめて最後までいたけれど、結局、15分で見切りをつけていたらよかった?
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味は、自分の体調によって感じ方が変わります。
だから、不明な場合は、分からないと言います。

でも、「朱」は、1回で見切ることができました。

しかし、それでは情けないので、尾道ラーメンでは、2番目に老舗の「つたふじ」に向かいました。
ラーメンの2杯目です。

出典:Google

行った甲斐がありました。
つたふじは、おいしかった。
旨みのあるスープを完食しました。

ただ、1つ気になることがあります。

店主は、70歳は確実に超えている。
6時までの営業時間を4時までに縮めている。
腰も曲がった印象を受けました。

どこまで続けることができるのでしょうか?

大きな疑問が残りました。