2018年10月17日
病院受診の敷居が高くなっている

具合が悪くなった方が、家族の元に行くので、紹介状を書いてほしいと言われた。
紹介状を書くのは、とても時間がかかるため、普通は時間外で作成させていただいている。
開業医の中には、
「上記の症状が悪化しています。
 よろしくお願いします。」
とだけ書かれた紹介状もあると聞く。

これだけだったら、簡単だ。
医療クラークに書類を作ってもらい、後で目を通すだけでいい。

病状の経過を追って説明する紹介状だと、通常、30分くらいはかかる。
紹介状を作成する労力と値段を考えたら、決定的に赤字となる。
これは、ビジネスだと成り立たない。
使命でやっている行為である。

それだけでも、つらいのに、混雑した診察中に求められると、難儀する。
完全予約制にしている一般科でも、これは、待ち時間が長引く要因となるだろう。

近年、先進病院への軽症患者が集中することを避けるため、基本的に紹介状を必須としている。
紹介状がなく、受診すると、自費で5000円程度は徴収される。
それでも、自費を出したら診てくれる病院は、とても助かる。

最近は、医療連携室に予め、紹介状をFAXして、それを医師が吟味してから、予約の日時をとる病院が増えている。
また、紹介状の用紙を指定している病院もあり、書く方として、余計面倒になる。
後日、連絡があり、日時のお知らせがある。

患者がその日時に行けないと、なぜか、紹介する医療機関が連絡を入れないといけない。
また、FAXしてまで問い合わせたが、診療できないという事例もあった。

先方としては、診療が破綻しないよう、新患を整理したり、セーブしたりする機能として制度を取り入れているのだろう。
逆の立場からすると、嫌がらせかと思ってしまう。

今回は、つながりのない県外への病院への紹介を依頼されたが、紹介状を整えても、(これまでの例からして)即日、決まる保障はない。
その間に県外に移動する。
その期間は、当該医療機関がお休みの最中である。

申し訳ないが、
・紹介状を書いたら、患者さんや家族とのやりとりで、日時を決めてくれること
・即日のやりとりを保障してくれること

それらがないと、急ぎの紹介システムは、破綻する。
反対の目線から捉えると、急ぎの紹介を受けると、大病院の診療が破綻するということかもしれない。

労働の人手不足は、医療界でも大きな問題となっている。

もう、小手先だけでは、逃れられない状況となっている。