2016年7月20日
うまいからといって、人気が出るとは限らない

近隣では少ないが、全国でみると、行列のできるお店はたくさんある。
行列のできるラーメン屋も目立つ。

そういう行列が絶えないラーメン屋が支店の出店を目指すことは多い。
1つでは、利益を得ることはできるものの、限界が見えるからだ。
企業として、大きく業績を伸ばすために、出店の選択肢はつきまとう。

一方、「おいしい」という人気店での出店は、失敗に終わることがよくある。
実家近くの一番人気店「朱華園」は、近隣に2つの支店を作ったが、最近になって、隣町の福山支店を閉店した。

私は、数は多くないものの、福山支店を訪れたことはある。
尾道と違って、行列がなく、すっと入ることができた。

しかし、実際に食べ始めてみると、一口食べただけで、
「違う!」
と思った。

何が違うのかは分からない。
本店の味を幾度も経験し、持ち帰りまでして作った経験からすると、麺や具材は本店から送られてきたものと思われる。
まったく同じとしか考えられない。
スープも支店で作っているのではなく、おそらく本店のものだ。

それでも、味が異なるということは、同じ食材を使い、最後の仕上げを行う職人の腕がないためであろう。
具体的にどう感じたかというと、「麺を茹でた後の麺きりがうまくいってないのではないか」と想像した。

3口くらい食べてから、口にした器はそのままにして、「麺きりをしつこく30回くらいして作り直してください」と新しい注文を入れようかと思った。
ただ、これを実際に言うのは、けんか腰になるような気がして、そこまで言わなかった。

自分だったら、味見して、考えて何とかするかもしれないと思いながら……でも、それは他人のこと。
料理は、自分の舌がよければ、味見をすることで、確認できるのがよい。

実際、福山店が閉店になったのは、立地のせいではなく、味が至らなかったことは大きいと思う。

他に、岡山県の水島に「百万両」という人気店がある。
今は、代がわりして、中身が一切変わった店なので、もうかつてのおいしさはない。

それはさておいて、かつて、美味しく人気のあった店も、岡山市内に支店を出した。
そして、実際に食べたところ、麺も具材もスープも本店と同じようだけど、全体の風味は損なわれて、まったくおいしくなかったという事実がある。

ラーメンって、スープや麺が同じなら、店と同じ味が再現できると思っている人が多いが、絶対にそんなことはない。
調理には、最新の注意を払わなければならない。

朱華園の持ち帰りで言うと、

・調理する前に、麺をほぐしておくこと
・持ち帰りのために冷えて固まった脂を温水であたため、スープをすべて使うこと
・スープを温める時、沸騰させると、風味が飛ぶため、その直前で火を止めるようにすること
・麺を茹でる時間を正確に測って、ちょうどよい硬さにすること
・麺きりをしつこいくらい、しっかりすること
・スープが冷めないように、麺や具材を均一にすばやく入れること

これらのどれかが欠けても美味しいとは言えなくなるのである。

百万両の支店の作り手は、調理する技術が稚拙で、まったく風味を出せなかったと思われる。
この店は、後にメニューを増やした。
さらに後に酒を出して、居酒屋のようになった後、閉店した。

まず、支店で同じ味を出すことが難しいという難点がある。
しかし、それを実現しても立ちはだかる壁が他にもあるように思う。