2019年2月27日
パニック障害

症状

動悸(心臓がドキドキする)や息苦しさを感じることが一般的にみられます。

高速道路、特にトンネル内での走行中に発症する方がおられます。
その他、「高い所」「狭い場所」「逃げられない空間」「窓が開かない列車や飛行機」などで感じることが多くみられます。

日常生活では、「人ごみのある所」「車で路肩など、避難できるところがない場所」「人が乗っているエレベーター」「密閉されたMRI検査」などでも誘発されることがあります。

動悸が気になる方が多いですが、呼吸が苦しくなって、いくら息を吸っても、さらに苦しくなり、過呼吸に至る例もあります。
過呼吸発作の場合、本来、酸素濃度は充足しているのですが、血中の二酸化炭素濃度が低下して、逆に息苦しいシグナルを脳内に伝達しているという説があります。

いずれにしても、息を吸えば吸うほど苦しくなるというパラドックスが生じます。

生理的な対処法

このような状態では、視点をかえて、逆に「息を吐ききる」ことを心がけてください。
身体的に異常があるのでなければ、息を吐いた後、必ず吸うことができます。
肺は、吸うことのできる限界があるため、吸えば、吸うほど苦しくなります。

桂枝雀の落語の中で、枝雀が医師役で、「吸って、吐いて、吸って、吸って、吸って…」と指示すると、最後は吸えなくなるこという場面があります。
一見、ジョークのようにみえまが、パニックに陥った時に、そのように振る舞ってしまうことがあります。

修行僧で用いられている座禅は、「呼吸法」を基礎にしています。
そうした呼吸法の考え方では、「まず、吐くこと」から始めます。

これは、人間の欲と関係したものかもしれません。
座禅では、まずは、「悪いものを排出する」ことを一番に勧めます。
それから、よい気を取り入れるのです。

自律神経の働きでも、息を吸う時は、少し脈が速くなり、吐く時に遅くなるという現象が心電図で確かめられます(学生実習の時に行い、確認しました)。

パニック障害では、「発作が起こるかもしれない」という「予期不安」を感じることが多いため、発作に至る前に呼吸を吐く方を中心に整えてください。

薬による治療

パニック障害では、薬による治療は、大きく分けて2通りあります。

たまにしかない発表で、症状が出現する場合は、その場を乗り切る安定剤(抗不安薬)を服用することで、しのげることがあります。
抗不安薬は、即効性があり、服用した場合、15分〜30分で効果が出現します。
効果は、数時間で、その後、薬が抜けていきます。
副作用は、眠気くらいです。
たまにしか、服用しないような方なら、このような使用法もよいでしょう。

一方、抗不安薬を常用せざるを得ない状態では、依存性の少ないSSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害薬)を使う方をお勧めします。
こちらの方が依存性や耐性も起こりにくいため、厚生労働省からも推奨されています。
ただし、数日で効果が出るものではなく、毎日定期的に服用して、2週間くらいから効果が現れることが多い薬です。

動悸の改善についての効果は高く、徐々に効いてくると楽になります。
SSRI単剤で症状の発現を抑えている方も多くおられます。

症状の強い方は、SSRIと抗不安薬を併用する方向で治療します。
いずれにしても、苦しさを抑えられる範囲で、内服薬を少なめにすることを目指します。

トリビア(豆知識)

パニックという言葉は、ギリシア神話に由来します。
森の神である、「パン」が通り過ぎる時、周囲がざわめくことから、この言葉ができました。
また、「パン」は、「王様の耳はロバの耳」の話に由来する、ミダス王と関連しています。
ご興味のある方は、調べてみると、意外な発見があるでしょう。