2014年9月4日
初めての上高地

2日目は、1日目と同じホテルに宿泊した。

人がたくさん入っている。
お湯が汚れているのかと思った。
どうも、それは一応、温泉で、そういう色をしているらしい。

お湯に入って、食事をすませたら、見つけたミニゲームセンターへ。
「エヴァンゲリオン」という、名前は聞いたことはあるが、見たことのないアニメのパチスロ機で遊ぶ。
100円で30クレジットというのは、パチンコ屋でやっていた時と比べると、すいぶん優遇されている。
パチンコ店では、1,000円で50クレジットだった。
計算すると、6倍も違う。
まあ、何も戻っては来ないゲームだからね。

このゲーム機、1日目に見つけて、バカ当たりしてしまった。
何度ビッグ(大当たり)をひいたことだろう。
それでも、350クレジットを超えると、景品が出て、クレジットが0に戻ってしまう。
実際、350超えを何度もして、そのために追加投資をしないといけないかとひやひやする場面があった。
景品いらないから、続けて遊ばせてほしい。
というより、本当は、景品なんてものは、出なかったんだけれどもね。
お店のうそつき!と言ってやろうと思ったが、すぐに捨てるような景品をもらってもありがた迷惑なので、そのままにしておいた。

いや、旅行中にばからしいことをしてしまった。
しかし、ホテルとはいえ、これが日本の温泉宿なんだね。

ビールの自動販売機があって、それほど高くない値段で喉をうるおして、アルコールを飲めるというのも日本ならではのこと。
海外では、ビールが買えない場合が多いし、あっても、量があると「重くてかさばる」、時間が経つと「まずい」「ぬるい」という憂き目にあう。
そのため、あらかじめ空港でブランデーを買っておく。
旅行中、ブランデーがなくなりかけると、現地でワインを買う。
酒を飲まなければいいのだが、もうクセになっている。

こういう、薬物探索行動をしてしまう状態を「依存」とよぶ。

さて、つまらぬ話をしてしまった。
立山には、これまで3回行ったことがあったのだが、上高地には、一度行きかけたけれど、時間がなくて立ち寄れなかった経験がある。
だから、生まれて初めての上高地なのだ。
上高地は、とても景色がいいと本に書いてある。
パンフレットにも書いてある。
行ったことのある人がそういう。

そんなにいいのか、上高地?!

この旅では、すんなり通してくれるだろうか?
ホテルを出るとき、天気予報が出ていた。
表示は曇りという感じであった。
さいわい、雨が降っていない。
少し青空が見えることがある。
せめて上高地は、笑顔を見せてほしいものだ。

そんな中、たどり着いた中継地点は沢渡という場所であった。
これは、混雑する期間の交通規制と排気ガス減少のため、観光バスや自家用車の乗り入れを制限し、沢渡~上高地間を低排気ガスのバスがシャトル運航するというものである。
沢渡から上高地までは30分ほどの行程だった。

それまでにも、随分と山の中に分け入っていると思ったのだが、バスはさらに狭くなる道を上に向かっていく。
この頃は、道中、ヤフー地図やグーグルアースで現地点の様子を携帯でみることが趣味になった。
ただ、このナビ機能は、電池の減りが早いので、こまめに電波を受信しない機内モードに切り替えて、節電をしていた。

さて、景観が心地よく、さわやかという上高地。
ようやく辿り着いた現地は
……雨だった。

仕方なしに傘を出して、とりあえず、有名な河童橋まで出向いて行った。
通常、この徒歩散策は、楽しくて気持ちがいいらしい。
しかし、私たちがいる状態では、景色は何でもないただの山の中。
横に水かさが増えて、流れが早くなった川が流れている。
地面に水たまりができて、それを避けることに注意がいくので、景観の大半は、地べたである。

こうして、お弁当をたずさえて辿り着いた河童橋。
さて、いかにする?

この雨では、これ以上、行くあてもない。
弁当を食べるにも座る場所もない。
結局、橋を渡った所にある軽食店ですごすことにした。

メニューや店に置いてあるものを眺めた。つらつら眺めるに…
……とにかく、値段が高い。
ホットドッグが600円。
普通、300円くらいでしょう。
150円くらいのカフェラテが、300円の表示があることを見て納得。

ここは、特別な場所なんだ。
立地が、銀座や新橋みたいに稀少。
持ち運ぶ運送費がかかる。
季節性のある観光地で、冬場は閉ざされるので、夏の間に稼いでおかなければならない。
まあ、喫茶店で、コーラ1杯400円なんてこともざらにあることだし、そういうものだと頭のモードを切り替えないといけない。
こういう時、私の頭も節約モードに切り替わって、速攻で、一番安い、かけそばを注文していた。

お店は、回転が速くなる仕組みで、座ると、ほどなく頼んだメニューができてきた。
そばをゆっくり目に食べてもすごす時間がしれている。
だらだらいると、他のお客さんやお店の迷惑になる。
ということで、30分も時間をつぶせないで、店を出た。

その後、折り角、ここまで来たのだから、「上高地帝国ホテル」にでも行ってみるか、と考えた。
ここに来る2週間前に、東京の帝国ホテルに行ったばかりだから、その親戚でも見に行こうかと思った。

そうして、歩いている内に…
雨の勢いがおさまらない…というより、強くなってないか?
ずいぶん、ズボンが濡れてきていないか?

そうして、バスターミナルに帰って来た辺りで、さらに進撃することを断念した。
とにかく、雨に濡れないですむ場所にいたい!
バスターミナルの横に、休憩所がある。
そのやや切り立った屋根から落ちてくる水は、雨というより、滝のようだった。

たっぷり180分、散策の上高地。
残念、苦行の中で人生を考える、たっぷり180分、上高地!

上の展示場で、すごした後、下の休憩所に空きが出たので、そこに腰かけて、弁当を食べた。
何もしないでも腹が減るものだ。
それに、何もしないでも疲れるものだ。

お年寄りでは、寝てばかりいるけど、「しんどい」という方が増えてくる。
何もしないでもしんどいらしい。
考えてみれば、何もしなくても人間は、生命を支えるために、それなりのエネルギーを消費しているのだ。
これを、「基礎代謝」という。

上高地で、雨がおさまってきたら、集合時間となった。
さよなら、上高地、赤いお屋根の帝国ホテル。
道中、一瞬、青空の出ている場所があり、添乗員さんに声をかけられてみると、普通の山の背景に、さらに高くてきれいな山岳地帯独特の風景が一望できた。
わずか10秒くらいで、写真におさめる暇もなかったけれど、「あれが、上高地が微笑んだ時の風景」なのだと知った。

帰りは、お盆のラッシュが控えている。
一番近い道は、断続的に40kmの渋滞となっている。
そのため、バスは、途中で反対方向に引き返したり、南を進んだりしながら、歩みを進めていった。
もう、みんな帰ることだけに専念していた。
私は、道中の暇をまぐらわすため、携帯のマップで進行状態や道路状況を見ていた。
高速道路の渋滞情報も検索できるので、この経路なら、この道を避けて、こういくはずだと推測し、マップのナビがその進行をたどっていくのを見ると、子どもじみた遊びだけれど、案外楽しかった。

終着点に着いた時、480kmの走行予定だった帰路は、迂回したために600kmに及んでいたという。
運転手さん、添乗員さん、お疲れ様でした。

山の厳しさを耐えられる範囲で教えてくれたことに感謝。
帰りの2時間くらい、横に座った人と有意義なおしゃべりができたのもよかった。
次は、「いつ、リベンジに行くか」だ。