2016年3月13日
満室のアパート経営は、安心なのか?

いろいろな落とし穴が多い不動産。
アパート経営をされている方も少なからずいる。
手広くやっているところには金持ちは多いが、一方、若くて普通の方が行っていることもある。

不動産は、金額の大きさ故、借金をして、レバレッジをきかせていることが多い。
だから、経営がうまくいくと、金持ち大家さんも可能だ。
一方、失敗すると、底なしと思えるほどの負債を抱える。

先日、知り合いの方のお母様が、アパートを売却されたという話を聞いた。
売却する前に部屋を満室にして売り出したらしい。

これは、戦術的に秀でていると考えられる。
アパートは、賃貸で人に貸して、その収入で借入金を支払っていく。
そして、その結果、お金が残らなければ意味がない。

いくらか前に、「減価償却の説明をしたい」という業者からの電話があった。
減価償却とは何ぞや?という疑問が湧いたが用は、投資物件でマイナスが出た分の税金が安くなるという話だろうと思う(その業者とは話をしなかったが、別の業者から、そのからくりを聞いたことがある)。

これは、利益を出している人の多くが語る言葉である。
損して税金の支払いを少なくするよりも、儲けて、きちんと税を支払った方がいい。その方が手元に多くのキャッシュが残る。

そういう意味でもいらないところは節約するが、しっかり利益を出した方がいい。

さて、不動産の話に戻る。
賃貸業で、マイナスが出ると、キャッシュも出ていく。
これは、明白な痛手だ。
最近、都市部では、不動産価格が高騰して、投資物件の利回りが下がり、ローン金額より収入の方が明らかに少ないというマイナス物件が数多く見られる。
端的に言えば、明白なプラス物件を見つけることが絶望的かと思うくらいだ。

さて、そんな中で、黒字経営をしているアパートを見つけた。
そのアパートがそのままの利回りで売りに出されているとする。
それなら、安心か?

黒字なのはいいことだが、残念ながら、それだけでは判断ができない。

極端な例を挙げるが、ある会社が社員の社宅にアパートを所有していた。
そのアパートには、社員が住んでいて、満室である。
だから、表面上は、満室で黒字の経営である。
しかし、その会社は、本体の経営が危うくなって、アパートを売り払った後、倒産してしまった。
倒産後は、住んでいた社員も出て行って、アパートは、もぬけの殻となってしまった。
そういう実例がある。

こうした事例の物件をどのようにして避けることができるのだろうか?

これは、完全に見抜くことは難しいかもしれない。
しかし、入居者の属性を予め知ることができたなら、防ぐことができたかもしれない。
それが分からない場合は、相場の価格と乖離しているかどうかを勘案することは大きな材料だ。
高いとよくないが、安いものにも落とし穴がある。

売主に欲がないか、あせって売っていると安くなりやすい。
そうでなければ、何らかの欠陥が潜んでいる可能性があるため、注意を要する。