2020年5月26日
だって、患者は気をつかっているもん!

先日、総合病院を受診しました。
その時のできごとです。

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診察前に血液検査を行いました。

病院は、院内感染対策を強化しているようでした。

これまで朝の採血は4人の看護師で行っていたのですが、人の距離をあけるため、採血者は半分の2人に減らしているようでした。

そのため、従来より採血に要する時間は倍かかることになります。

椅子も間をあけて座るため、5人目の人が座る席がありませんでした。
窮屈だという印象を受けました。

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滞っているようだなと感じ、順番を待った後、できるだけ速やかにシャツをめくり、時間の節約を図りました。

そして、採血が終わった後、荷物を持ってすばやくその場を立ち去りました。

採血者からは、「血が止まらないかもしれないから、しっかり押さえてください」と言われていました。

これまで、1000回とは言わないけれど、何百回か採血を行ったことがあります。

ここで、生まれて初めての出来事が起こりました。

荷物をおいて、注射痕を押さえようとした時には、すでに血液が腕を流れ落ちていました。

腕は押さえるものの、したたりそうな血を拭いてもらうため、もう一度、検査室に入り、出血している旨を伝えました。

すると、入り口近くの受付の人が、

「あら、大変。急いで血を止めてきれいにしなくちゃ」

とは言いませんでした。

その代わりに、

「あら、ちゃんと血を止めるように押さえなくちゃだめじゃない!」
と不機嫌に言い放ちはした。

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ここで、それに対して、どう答えるかは、個人の性格とその場の雰囲気によります。

気の弱い人だと、
「すみません」
と謝ることでしょう。

気性の荒い方なら、
「なんだ、その言い方は!」
と激高することもあるでしょう。

普段、私は、検査室側の人間なので、どちらの言い分もあると感じます。

そして、私は、その言葉を受けてどうしたか。

何にも言いませんでした。
黙って腕を差し出し拭いてもらいました。

繰り返しになりますが、採血で、血がしたたり落ちたのは、人生初のできごとです。

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これには、理由がありました。

普段の検査では、荷物をカゴやロッカーに置いているため、採血で注射針を抜いた後、いくらかの時間、反対の手で傷を押さえるのです。

しかし、その病院では、荷物を置く場所がなく、採血をしている左腕の横に荷物を置くようになっていました。
私が持っていたカバンは2つでした。

そのため、カバンを持ちながら、その手で止血することができませんでした。

また、後に控えている人がつかえて病院に迷惑をかけてはいけないと肝に銘じていたため、荷物をさっと置き移してから、止血に専念しようと考えていたのです。

ところが、運悪く、荷物を移動する間に出血してしまったというわけなのです。

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この出来事で、誰も責めようとは思いません。

ただ、その状況を伝えなきゃ、また同じことが起こるだろうと予測できました。

と言って、それが批判であることは好ましくありません。

病院では、軽度な事故や事故になりそうなことが起こった場合には、「インシデント」という報告をします。

その危うい出来事を書類にまとめて、対策を練るというものです。

私が病院勤務していた時にも、そうしたインシデント報告はありました。
しかし、その報告は、誤った人の非難に使われることが多く、具体的な解決策まで行きつくことは、ほとんどありませんでした。

大変残念なことです。

そのために、当院でもインシデントノートはありますが、それはほとんど使用することなく、異なる方式で、先に進むことができるようなシステム作りを行っています。

(この話は、次回に続きます。)