2018年11月3日
医療機関は、IT産業に食い物にされている?

20年ほど前くらいから、医療もIT化が推進され、15年前頃から、電子カルテが普及してきました。
大きな病院だから、導入するという考えもあれば、小さなクリニックだから、莫大な経費をかけずに導入するという考え方もあります。

私は、病院での勤務医時代、辺鄙な県では、最初に電子カルテが導入された病院で働きました。
電子カルテの開発を行い、医療界に参入しようとしているメーカーが、開発の元になるヒアリングを行うために、テスト機関として、通常より安価に導入できることになったためです。

最初から病院に据え置かれた電子カルテと異なり、使い勝手が悪ければ、それを伝えて、修正してもらいました。
そういう意味で、自分の希望に添ってカスタマイズしてくれた部分もあります。

だから、2年間研修に来た女医さんが、
「研修期間中に初めて触れた電子カルテは、使いにくいと思った。でも、大学病院に戻った時、導入された、大手の電子カルテは、もっと酷かった」
と述懐しました。

IT化による連携、記入漏れが減る、コスト削減…
そのほとんどが虚しい言葉に聞こえます。

カルテや画像を簡単に照会することができることは、便利でした。
でも、連携するのは、人の仕事。
組織で、人の仲が悪ければ、意味がないし、最悪、責任のなすりあいということも起こります。

「電子カルテで、請求の取りこぼしが減る」といううたい文句は、まったくウソだと実感しました。
電子カルテが煩雑で、却って、取りこぼしが増えました。

コストも莫大なものです。
PCとモニター、プリンターのセットが必要となります。
スキャナーも各部署に配置されました。
これら、ハードウェアの代金だけでも1億円以上するはずです。

それでも、本当に高額なのは、1床あたりにかかるソフトウェアの費用です。
記憶が定かでないのですが、1床あたり、100万円はするでしょう。
大規模病院なら、数億円します。

さらに、保守費用がかかります。
トラブルがあった場合の対処と保障です。
これが、30%くらいかかるという話もあります。

しかも、通常は、多くを導入すると、コストが安くなることが多いのですが、電子カルテに関しては、より大きな病院だとサーバーの負荷も大きく、小さな病院より1床あたりのコストがかかるケースが多いようです。

しかも、医療従事者とIT企業間の知識の乖離がすさまじく、言われるがままになることが多いようです。
また、初期費用を安くするよう圧力をかけても、安い機器ですまされることがあります。
さらに、実際、導入してしまった場合は、後戻りできないため、継続して使用するための保守費用をそこで回収されます。

様々なデータを人質代わりにとられるのです。

厚生労働省は、医療のIT化を推奨していますが、社会保障費を捻出している分をITに投資して、経済を活性化させようとしているようにみえてしまいます。
そこには、病院経営という言葉はないのです。