2020年8月18日
所変われば見方が変わる:地図の表示方に現れた人の視点

ご自分の現在の見方で世界を見たら、判断を誤ります。

その1例をご紹介いたします。

日本人は、普段、同じような地図を見ていると思います。
ところで、下に掲げた地図をご覧になったことがありますか?

多くの方は、初めてみることでしょう。
日本人からしてみると、北半球と南半球の所在が真逆です。

さて、この地図は、何のために作られているのか考えて下さい。

勘のいい方、論櫓的思考をされる方は気づいたことでしょう。

これは、オーストラリアで主に使われている地図表記なのです。

こうした地図の表示は、なにもオーストラリアに限ったことではありません。

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日本では、日本国を中心にすえたメルカトル図法の地図を見慣れているため、違和感を覚えることでしょう。

説明するまでもないかもしれませんが、日本で使う主要地図は、日本が真ん中で、西(左側)にユーラシア大陸が描かれており、東(左側)にアメリカ大陸が描写されています。

この表示法は、日本人が世界を眺めるために都合のよい図法なのです。

ヨーロッパでは、別の地図が使用されています。
このアングルの地図では、「知っているよ」という方が増えてくると思います。

この地図では、日本は、どこに表示されていますか?

見てお分かりのとおり、地図の右側、つまり東端なのです。

これが、欧米からみて、日本が「極東」と呼ばれている所以です。
政治でいうところの「極右」とは関係ありません。
地図上の表記と物理的距離によるものです。

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さて、また違う視点から世界を考えている地図があります。

そのために、ここで質問をしますね。

過去の米ソ冷戦の時、お互いの国に向けて核兵器を配備しました。
その弾道ミサイルの配置について考えてください。

△アメリカのソ連(現在のロシア)核兵器は、どの方向に向けられていますか?
逆にソ連(現在のロシア)は、アメリカに対して、どの方向に発射するよう核兵器を配備しているでしょうか?

⇒ 大方の人は、アメリカは西向き、ソ連(ロシア)は東向きに向けていると答えるでしょう。
 実は、私も昔はそう思っていました。

でも、実は違うのですね。

核兵器配備で効率的な方向は、
『距離が短い』
ことです。

そこで活用されるのが、「正距方位図法」です。
これは、飛行機を最短経路で飛ばすための資料としても使われます。

最短距離は、メルカトル図法で示すことができないのです。

アメリカの主要都市とソ連(ロシア)の主要都市との最短距離は、東西方向ではないのです。

実は、両国の核兵器は、お互いに同じ方角を向いています。
「えっ?同じ方角って、ありえないじゃない?!」
と思われたあなた、まっとうな常識人です。

打ち合う方向が反対なのに方角が同じってありうるの?

はい。
打ち合う向きは、反対です。
でも、方角は同じなのです。

下の北極を中心とした、正距方位図法を参考にしてください。

両国の最短距離は、北を通る経路なのです。

だから、米ソの核兵器は、
「互いに北極方向(北)に向けられている」
のです。

核兵器といえども最短距離にあたる方角に配備されていることの方が合理的なのです。

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こういう知識は雑学にあたるかもしれません。

しかし、物事の合理性や本質を考える場合、固定観念に縛られない方が経済的にも精神的にもとてもよいことなのです。