2018年12月14日
日本の医療は、国民皆保険とは、言えない

日本では、1955年頃まで、国民の1/3ほどにあたる3000万人が保険者でした。
職業として、農業、自営業、零細企業従業員が中心でした。
これが社会問題となり、1958年に国民健康保険法が制定されました。
これにより、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保健医療が受けられるようになりました。

それから、約70年の時が経ち、日本では、健康保険があることが当たり前と感じるようになりました。

しかし、世界では、国民保険がない国が相応にあります。
身近な例ではアメリカです。
アメリカは、生命保険会社が健康保険を担い、査定します。
健康保険の支払いは収入に比して高額なため、一部の人しか加入していません。
所得に余裕がある、中間層が中心です。
お金のない人が加入することが難しい額です。
反対に、富裕層は、自由診療で、自分の納得する医療機関にかかるため、医療保険に入る必要がないかもしれません。

しかも、アメリカでの治療費は、高額です。
昨年、ニューヨークに行く際、クレジットカードに付帯する保険で賄おうと思いましたが、旅行代理店の人に言われました。
アメリカでは、ICUに1泊するだけで、100万円必要となります。
クレジットカードの枠では、もしもの時に足りないおそれがあります。

それを聞いて、ネットで検索して、医療費が無制限で、納得できる金額の障害保険に加入しました。

アメリカで医療裁判が多いことが知られていますが、これは、単に裁判が多い国だからという理由だけではありません。
治療を受けた時の請求額があまりに高額で、支払うことができない、あるいは納得できないというケースが多いことにも起因します。

アメリカの前政権の時、「オバマケア」という保険制度が成立しました。
これは、アメリカで5000万人存在する無保険者に対して支援策です。
国民皆保険制度を目指したものと言えます。
その一方、健康状態がよくない加入者が増えて、医療保険会社の収支が悪化したそうです。

トランプ大統領は、そのオバマケアを廃案するか、あるいは代替案を出して修正しようとしています。
が、うまく進んでいないようです。

現在、社会保障費が年々増加している日本ですが、自由の国「アメリカ」より優遇されていることを理解しなければなりません。
アメリカでは、健康な内はよいですが、病気がちになると住めなくなるという社会事情が存在しています。

そんな夢のような、日本の国民皆保険制度ですが、実は、抜け穴もあります。
保険証が切り替わる間、数日、無保険となることがあります。
たまたま、その時に、医療機関を受診した場合、自費診療となってしまいます。
だから、保険証の切替には注意が必要です。

しかし、もっと酷いのは、税金滞納者には、保険証を発行しないことです。
義務を怠った者には、権利を行使させないという理論は、一見正論です。
しかし、それは、国民皆保険制度に反しているのではないですか?

実際のところ、税金の支払いが不安定な人に対しては、支払いをした月だけ有効な、1ヶ月期限の保険証を発行しています。
この保険証は、通常の保険証とは異なり、月が変わると無効となります。
いわゆる、ブラックな方の保険証とも言えます。

こういう方は、継続して保険証がもらえるとは限らないため、保険証がない場合は、全額自費扱いとなります。
しかし、保険料すら払うことができない人が、自費診療のお金を支払うことができるでしょうか?

現実には、医療費を支払うことができなくて、滞納、あるいは未収に終わることが多くなります。

こういう現実に対して、国の法律が(ばかばかしくて)笑ってしまいます。
「お金がないからという理由で、診療を拒否してはいけない」
という項目が存在するのです。

アメリカは、ある意味、薄情ですが、クリアです。
お金が支払えない場合は、診療あるいは治療しなくてよい。

一方、日本では、支払えない人間を診る義務を病院に負担させる。
個人的には、すべてがいけないとは思ってないのですよ。
せめて、医療保険を持っていれば、それ以外の未収金は、我慢できるかもしれません。

自治体が健康保険を発行しない人をどうして、医療側が負担しなければいけないのか?
こうした場面でも、国の理不尽さや無責任な態度が滲み出ているように感じます。

結構、多くの若い人が感じておられるように思うのですが、私たちの世代では、年金を支払っても、それに見合う金額をもらえないと想定しています。
悲しいことに、国の政策を信じることができないのです。