2019年8月4日
預かった拾い犬

 拾った犬を少しの間預かることになったことがありました。
その犬を連れていく車中、ふるえ、排便、嘔吐がありました。
吐物に回虫があったようなので、動物病院に連れていくことにしました。
土曜の午後、その病院には常に車が数台は止まっていて次々に動物と人が現れました。

 しかし、流れは概ねスムーズです。
初診受付をして少しして呼ばれました。
中で一つの順番待ちです。その間、診察場面をみることができました。

 老犬の診察がありました。
肝臓が弱っており、腹水がたまっています。
「腹水は抜かないんですか?」
「抜くのは死ぬ前です。苦しくていけないようならぬきますが。そでないなら、おしっこにして出すようにします」
「薬はどれくらい飲むのですか?」
「一生です」という受け答えが聞こえました。

 話から推測するに、肝臓癌か何かの末期癌の対処療法として利尿剤を服用させるのでしょう。

 今度はこちらが連れてきた「クー」の診察です。
「ふるえは緊張しているか興奮しているんでしょう。よだれは気分が悪いのでしょう。
吐き気とめを注射しときます。プリンペラン」
と獣医が指示しました。

 犬猫も人間と同じ様なつくりであると聞いたことがあります。
プリンペランは人に使う吐き気止めです。
それから、薬を飲ませ、ゲル状のものを犬になめさせました。
回虫駆除の薬です。
回虫は人間に感染することもあるため、早急に駆除をするようです。
最初の1回で8〜9割方駆除できるようです。
それから1週間毎に追加で飲ませるのを2回行えばよいと言います。

 会計の時、狂犬病の予防接種や寄生虫の予防のパンフレットをもらいました。診療費は3000円でした。

 それにしても、この犬は本当にほえません。
 まったく鳴き声をききません。
 非常におとなしくて鳴かないようにしつけられているのか、ショックで声が出なくなったのかは分かりません。

 夜、散歩に連れて行きましたが、歩こうとしません。
 公園の中を引っ張っていると、スポット首をがはずれて自由になると、急に動きがはずんみました。
 ぴょんぴょんと飛び回る子犬本来の動きです。

 クーは、木の陰に走り込んでなかなかつかまりません。
 それでも、振り切って逃げるということはせず、最後は抱えて補足しました。
 それからまた首輪ををつけると、ピタリと動きがとまって、リードを引いても踏んばって動こうとしません。
 バスケットに入れたら、またそこから動くこともなくこともなく、帰宅しました。

 二日目になってもクーはあいかわらず鳴きません。
 拾った主に返した方がいいのかと思いましたが、他の家族の二人が納得しません。
 クーをベランダにおいておくと、寒いのかバスケットに入っていました。
 子どもは、クーに対して、涙を流しました。

 夜になって、少し動きが見られました。
 夜食にハンバーガーを買ってきたとき、クーは、そのにおいにつられて、かごから出てきました。
 餌をやる前にお座りとお手を教えることにしました。
 お手の意味はよく分かっていないようでしたが、何回か教えるとお座りをするようになりました。

 パンは少しずつ食べていましたが、バーガーの肉の部分は、族座に食べきりました。
 深夜、なぜかかごから出ていました。
 かごに帰るように命令しましたが、言うことを聞来ません。

 見すと、うんちとしっこが出ていました。
 かごの中を掃除してやりました。
 掃除機をかけたら、その音にびっくりしたのか、はじめて「わん、わん」と声をだして吠えました。
 それ以外、ほとんど鳴かない犬でした。

 クーは、1週間ほど預かって、拾い主に返しました。
 その後、嫁は、たまらなくなったようで、自分で飼う犬を探しに行きました。
 それから、ほどなく我が家に犬が普通にいる生活になりました。