トラウマ その2

トラウマも一回限りのものと繰り返し行われるものでは質が違ってきます。

トラウマへの適応、トラウマの内在化

成人後にトラウマ体験に遭遇した場合は、人格がある程度できあがっているため、トラウマは人格の周辺部に位置します。また、トラウマによって影響される範囲も限られてきます。

幼いころのトラウマ体験は、人格の中心部に置かれることになり、その後も人格は広がりながら発達していきます。トラウマが人格に与える範囲は広がり、人格全体をゆがめる結果になりえます。

認知的な枠組み

正常な枠組み = 基本的信頼感

乳児は空腹感をおぼえて泣くと養育者がおっぱいやミルクを与えてくれて空腹感を満たしてくれるという体験をします。
他者が自分の欲求を満たしてくれるという「信頼できる他者」という認知的な枠組みを持ちます。

虐待環境にある子供

自分の要求を満たしてくれないという基本的不信感の枠組みを持ちます。
虐待される自己と虐待する他者という枠組み

→ 虐待を経験した子供が大人のちょっとした言葉や指摘に対して、重大な攻撃を受けたがごとく過敏に反応します。

トラウマと感情

1) 感情の流れの歪曲

感情は刺激による反応
ささいな事態がトラウマを刺激し、強い怒りや悲しみを呼び起こすことがあります。
その人にとっては、自分が今聞いた言葉ではなく、過去の虐待という体験に対して反応なのです。

2) 感情コントロールの障害

感情を適切に表現できないことが多くなります。
言葉で表現するかわりに、かんしゃくをおこしたり、暴れたり、または何もなかったようにふるまいます。

子供は成長するに従い、感情調整能力を身に付けます。
この能力は主に親が提供してくれます。

対象の内在化の失敗

対象の内在化
= 自分を大切にしてくれる人を心の中にすまわせること

ウイニコットの言う、「孤独にならずに一人でいることの能力」

心にすんでいる親と一緒にいる子はストレスに直面した場合にも、心にすんでいる親が励まし、エネルギーを与えてくれます。
対象を内在化しない子供は実際に親のそばにいないと強い孤独感や不安にさいなまれます。
思春期以降には「見捨てられ不安」や「しがみつき」的な人間関係となることがあります。

虐待的人間関係の再現傾向

虐待を受けた子供は大人の神経を逆なでして、大人を怒らせる傾向があります。

ヴァン・デア・コークのトラウマの行動レベルにおける再現
1)他者にトラウマを与える行為
2)トラウマとなったことを自ら繰り返す行為
3)トラウマとなった人間関係の繰り返しとその結果である再被害化

虐待を受けた子供は他者に対して暴力的になりやすい傾向にあります。
成人後、暴力犯罪を犯してしまう人は、そうでない人に比べて、幼少期に虐待の被害を受けています。
思春期以降の自傷行為を行うことも増えます。

子供を傷つけてしまう親

依存性と虐待の関係
子供の対して、私は誰に頼ればいいのよ、頼りたいのは私の方なのよと思い、つい手をあげてしまう
親の衝動性や攻撃性の高さ
感情をコントロールできない
自分自身がさまざまな発達課題や心理的な問題を抱えていることが多い
子供に対する非現実的な高い期待感
子供を思い通りに動かそうとするコントロール欲求
子供を子供としてみることができない
しつけの手段としての虐待

※ 2019年6月19日に、「しつけとしての体罰を禁止」する法律ができあがりました。

体罰禁止する法律

虐待の世代間伝播

虐待傾向を持つ親の内、幼い頃に虐待された経験を持つものが30〜50%存在すると言われています。

1)社会的学習 = 親のとった暴力を自分も方法としてとりいれる
2)自分自身の人生を肯定したい思いから結果としての虐待の肯定