2014年9月25日
薬を多く出しても病院の儲けになりません。

薬を多く出すと、病院や医院が儲かると思っている方が結構おられると思います。

確かに昔は、「薬で儲けていた」時代がありました。
薬科差と言いまして、薬を購入する値段と処方して、換金する時の値段に差があって、それが相当の利益となっている時代があったのです。
(少なくとも20年以上も前の話です)

しかし、薬価差益をなくすよう、厚生省(現在の厚生労働省)が、薬の点数の誘導を行った結果、現在では、ほとんどなくなっています。
また、薬を入れて、期限切れになってしまうと損をしてしまいます。
さらに、投薬が過剰だとか不適切だと判定されると、薬材料を実費で差し引かれる査定制度があります。

結果、かかるコストを考慮すると、下手をすると、薬を持つことで赤字になってしまうことになったのです。

それから、国が推進してきた、調剤薬局制度によって、薬を持たない医院も出てきました。
入院のある病院ですら、院外処方が増えているのですから、「なるべく薬を持ちたくない」というのが現状です。

そんな中でも、変な制度が続いています。
おそらくは、過剰な投薬に歯止めをかけるために作られた制度でしょうが、薬を7剤以上出すと、処方箋料が300円くらい低くなって損をするようになっています。

ですから、一部の医療機関を除いて、薬をたくさん出すのは、手間、暇、リスクが増える上に収入面で確実に損をすることになるのです。

「病院は薬で儲けている」と考えるのは、ごく一部の医療機関を除いて、まったく根拠のない思い込みであるケースが多いということを知っておいてください。
また、できるだけたくさん薬を出してもらおうとすることは、病医院を損させるだけでなく、将来的には、医療費の抑制のため、患者負担が増えるケースが出てくることは想定しておいてください。