2019年7月4日
街の辺縁にまで、サービスが届かなくなる日

財政破綻して、10年以上になる夕張市の記事を読みました。

人口10万人だった市が1万人未満となっています。

美術館などの公共サービスを保全できません
そのため、価値のある美術品は、他所に引き取ってもらいました。
公共サービスも一般の街より低下しています。

市の職員数も大幅に減らしました。
給料も40%は削減しました。

市長は、70%の給与カットで、251万円の収入だそうです。
交際費や経費も0です。
日本一、給料の安い市長さんのようです。

街にあった市立病院は、1桁病床を減らして、19床となっています。
つまり、総合病院だったのが、診療所になったということですね。
診療所に隣接させる形で小さな介護施設を持っています。

悲惨と思うこともありますが、この10年で変わったこともあるそうです。
大病をする人が減って、自然死する人の割合が増えたそうです。

大病したら、近いところに病院がないため、病気をしたら、危ないと住民が心がけるようになりました。
その結果、予防医学が普及することになりました。

予防医学といっても、おそらく特別なことではないと思われます。
高価なサプリを飲むことでもありません。

キチンとバランスのよい食事をとって、無理をせず、休養もとる。
深酒やタバコを飲まない。
夜更かしをしない。
…などなど、当たり前に健康になることを実践していると考えられます。
…だって、お金がないから。

辺境の地にまでサービスに行くのは、難しいので、遠くの人が、近くの住居に移るために補助金を出しています
一般の地方都市のように山奥にまで同じ料金で訪問していたら、いくらお金があっても足りません。
そのため、コンパクトシティを作っています。

今後、全国的に住んで暮らしてサービスを受けられる地域は、集約される傾向になると考えられます。
その先駆けとして、1つのモデルを示しています。

そして、これは、一般には禁句かもしれませんが、お年寄りより若い人にお金やサービスの比重を高くしています。
一般には、選挙にせっせと出かける高齢者の意見が政治に反映されやすくなっているのとは逆です。

そういう若者重視の政策を打ち出しても、夕張市のお年寄りは怒らないそうです。
むしろ、若い人を応援する声が上がっています

今後、高齢者の医療費の自己負担をどうするのか?
胃瘻は認めるのか、認めないのか?
人工透析をすると、医療費は無料になる制度をそのまま継続するのか?

高齢者の癌の治療をどこまで行うのか?
80歳以上で癌が転移した方に何千万円の治療費をかけて、化学療法(抗がん剤治療)を行うのかどうか?

など、医療と福祉について、大幅に見直していかなければならない日が来ると思われます。

まだ、老人ではない私は、他人事を言っている?

いえいえ。
私が老人になる頃には、すでに受けることのできるサービスは限られていると心得ています。

数字上の長生きを誇ることを終わりにせねばならぬ世の中に変化しつつある、その途上の段階にきていると思われます。