2020年2月15日
診察の中での順番

問診

治療するにあたり、まずは生育歴や病歴などをうかがいます。
その方の背景にあるものをお聞きします。

その後に、困った症状を訊ねます。

心療内科を受診される方の症状は1つというより、複数あることが多いので、
「今ある症状の中で、一番つらいのは、どの症状ですか?」
という質問から始めることもよくあります。

包括的治療戦略

その方の生活環境、労務環境、人間関係、考え方のクセなどを勘案します。
そして、環境改善でできる方法があるなら、そちらを行うことを優先します。

具体的で分かりやすい話では、借金問題で悩んで、うつになっている場合には、借金問題をクリアにして、処理することが一番早道であることがあります。

過払い金の請求や返す必要のないお金のあぶり出し、状況によっては、破産手続きを進めていくことをアドバイスすることもあります。
ただ、具体的な手続きについては、お金や法律の専門家に委ねないといけないため、その後押しをします。

また、仕事の負荷によって、病状が悪くなっていると思える場合は、会社と話し合ってもらう、あるいは診断書を発行します。
ただし、企業は、その診断書をどのくらい重視するかは不明です。

休養を要するという診断書は、効力が強いです。
なぜなら、医師からそういう警告を受けたにも関わらず、会社が無理やり働かせた場合は、会社の責任を問われることになるからです。

休職の診断書は、かなりの確率で受け入れられます。
一方、部署変更を提案した診断書は、希望通りにいかないことがよくあります。

会社にも労務規定や事情があって、義務ではないからです。

内服治療

それとともに症状を軽減するために内服治療が有効であると考えれば、そちらも行います。
薬による治療よりも心理士によるカウンセリングの方が適していると判断した場合は、可能な範囲で紹介しています。

病状のよくなり方

個人的な要素が大きいです。
薬がよく効いて、とても楽になったという方も一定の割合でおられます。
うまくいくと、1回の治療でかなり改善されることもあります。

すごく楽になったと喜ばれるケースもあります。
こういう場合は、私も素直にうれしいものです。

ただし、病状のよくなり方には個人的な要素が強く、どのくらいの期間でよくなるか、想定できるものではありません。
通常、良くなるときと悪くなるときが混在する波のような時期が訪れます。

治療が難しい方が一定の割合でおられますが、通常、うつ病の方は、8割くらいの方はよくなります。