2020年2月13日
診察頻度を多くした方がよい時

一般に初めて治療する方の診察頻度は短くなります。

病状や経過の把握がない状態で長い期間、経過観察することは危険です。

薬の相性も分かりません。

一般に薬が合わないという副作用が出現する場合は、1週間くらいでも分かります。
初めての薬を長期投与するのは危険な場合があります。

効果のあるなしでは、睡眠薬では、1週間で、その作用を確かめることができます。
一方、抗うつ薬が効き始めるには2週間くらいは様子をみる必要があります。

そのため、初めて薬を服用される方は、2週間程度で次回の診察をとりおこなうことが一般的です。
かなり調子の悪い方や不安な方は、初回は、1週間程度を目安にすることもあります。

薬もうまく効いてきて、調子が整った場合は、次の診察期間を延ばすことが多く見られます。

 

逆に安定していた方が急に具合が悪化した場合は、長期処方を中止して、診察期間を短くすることが普通です。

特に希死念慮(死にたいという気持ち)が出るくらい病状が悪化した人に対して、長い期間放置していくわけにはいかないでしょう。
長期間であける場合、薬も大量に処方するわけですから、気分が不安定な時、過量服薬する確率も高くなります。

一方、そこまで病状がひどくなくても落ち込みが強い場合などは、薬の調整をするために通常の期間より短く設定することがよくあります。

それでうまく状態がおさまればいいのですが、改善しない場合、患者さんだけでなく、治療者も悩みます。

不安に思われたご家族は、早めに相談された方がいいです。
治療者の意図や思いが伝わらず、誤解を招くことがあります。

要は、速やかにうまく治療して回復させていくことができたらいいのですが、必ずしもそうはいかないのです。

そして、一定の割合で病状がよくならない場合があります。
どんな名医にかかっても治らない病気が残念ながらあります。

 

分野は違いますが、基本的に
耳鳴りの治療は難しいです。
耳鼻科に行っても耳鳴りを治すことは極めて困難です。
いろいろな医者を渡り歩いて、最後は大学病院を受診した際、
「耳鳴りは治りませんから、慣れるしかありません」
という助言(?)で終わった話も聞いたことがあります。

疾患や原因の「しびれ」の治療もほとんどありません。
「薬を出しておきましょうか?」
と言われた際、処方される薬の大半は、ビタミンB12です。

耳鳴りやしびれは、それ自体は重い病気ではありませんから、特別な救済制度はありません。

しかし、重度の病気にかかって、働くことも日常生活を行うことにも支障がある方の場合には、「障害年金」という制度があるのです。

つまり、身体でも精神でも治らない病気が存在するということが過去の経験の蓄積から分かっているのです。

 

間の説明がやや長くなりました。

要は、治療は改善できるなら、できる内に集中して行うこと。
そして、今の医学では、努力してもよくならない病気であった場合には、救済制度の相談をされることが大切です。

その肝になるタイミングでは、診察期間を短めにした方がよいと考えます。