2019年12月6日
異分野でも使える技術

私は、医療系の人間なので、病気についての診察をすることが普通です。

それでも、相談内容によっては、話を聞くことより、実践的なアドバイスを行うこともあります。

例えば、住宅や不動産に関することは、分かる範囲で、具体的な助言をすることもあります。

最近では、仕事に関するアドバイスも行いました。

汎用性のあるものは、異分野でも役に立ちます。

例えば、飲食店に勤務している方へのアドバイスです。

・仕事の流れがつかめないので、困っています。

⇒ デジタルが苦手な方には、絵や文字で分かりやすく仕事の流れをつかむ方法をお伝えしています。

例えば、ハガキと同じサイズの紙に調理のレシピを書き込みます。
レシピは、文字だけでなく、必要なら、絵も入れてもらいます。

お店では、メニューが複数あることが普通なので、1つのメニューに対して、原則1枚の紙にまとめます。
白紙なら、裏表を使っても構いません。

そうして、いくつものメニューを用紙に書き出して、それをハガキ入れに挿入します。

ハガキ入れは、透明なファイルなので、書き上げたレシピメニューは、そのまま参考として、すきま時間にでも読むことができます。

これを一通りのメニューについて行うと、全体のメニューの料理のレシピを俯瞰することができます。

ファイルをめくることで、容易に復習することができます。
つまり、まとまりのない思考を見えるかすることで、作業過程が頭に入りやすくなるのです。

これで、いくつもある料理の調理法を概ね頭に入れることができます。
私が、アドバイスした人は、そうなりました。

・支払の額とお釣りの計算がさっとできないので、困っています。

⇒ メニューの組み合わせによりますが、よくあるパターンは、概ね決まっています。
そのパターンを書き出して、総額がさっと頭に浮かぶように暗記します。

間違い安い例も書き出すことで、間違いを防ぐ役割を果たします。

よくあるパターンができたなら、あまりないケースについては、電卓を使うことで対応します。

つまり、頻度の高い7〜8割の計算を覚えることで、会計の計算を短縮化できます。

・細かな作業を手際よくできなくて困っています。

これは、最初のレシピを覚える作業の詳細化です。

これは、レシピ以上に細かく作業を分解して、言語化します。

一例:失敗しない袋麺に入っているインスタントラーメンの作り方

1 器にちょうどよい量のお水を入れる
2 鍋に水を入れて、その水をそのまま捨てる。
 (少しだけ薄く底に鍋が湿っている)⇒ これが、加熱による蒸発分の補給となる
3 器に入れた、ちょうどよい量のお水を鍋に移す
4 鍋を強火で、沸騰するまで沸かす
 (あまり長く沸かすと、水分が余計に蒸発してしまうため、注意する)
5 沸騰した鍋のお湯にインスタントラーメンを入れる
6 強火のまま、麺が概ねほぐれるまで待つ
7 麺がほぐれたら、弱火に落とす
8 弱火のまま、鍋を観察して、麺が、十分ほぐれて、沈む瞬間をみつける
9 火を止める
10 予め、すぐに入れられるように準備していた、粉末粉を入れる
11 強火で一度、湧かす
12 それを器に移して完成

たかがインスタントラーメン、されど、インスタントラーメン。
麺のほぐれ具合、お湯の量による、薄い、濃いというバラツキを減らすことができます。

この方法は、ラーメンセットを持ち帰りで調理する場合にも使うことができます。

通常、有名店で食べたらおいしいラーメンも持ち帰って調理すると、別物ではないかと味が異なる場合があります。
それには、いくつか理由があります。

そのために、味を損なう要因を考えました。

そうして、家でできる最大限の工夫をして、店の味にできるだけ近づけるようにしました。

1 持ち帰って麺は、店にある新鮮な状態より劣化していることがあります。そのために、調理前に手で麺をほぐしておきます。

2 なるべく大きな鍋に水を入れて沸騰するまで熱を加えます。

3 冷たくなって脂と醤油が分離しているスープをお湯につけて温めます。

 (以上は、同時に行って構いません。)

4 分離が溶けたスープを鍋に入れて温めます。この時、スープが沸騰しないように注意します。そのギリギリのところで、火を止めます。
 スープを沸騰させた時に香りが消し飛ぶことを防ぎます。

5 大きな鍋で沸騰したお湯の中に麺を入れます。そして、麺を入れたお湯が沸騰した時点で、即座に火を切ります。

6 茹でた麺は、すぐにザルに移して、お湯を捨てます。

7 ザルに入れた麺は、「しつこいくらい」麺きりをして、余分な水分を取り除きます。この麺きりが十分でないと、スープが薄いだけでなく、雑味が出て、味わいのあるスープが台無しになります。

8 最後にチャーシューやメンマ、ネギなどをトッピングします。

家で、持ち帰りラーメンを作る時は、こういう流れで調理しています。

自分で、ハッキリ言語化できますので、細かい手順や手際を間違えずに行うことができます。

このように、レシピの段階の次の細かな作業は、どの過程で味を損ねるかということを勘案して、肝になる部分に細心の注意を払います。

簡単な調理についても、いくつもの注意点があるのです。
勘のいい人は、それを無意識に行うことができます。
そうでない方は、作る工程の詳細を分類して、注意点を書き出して、言語化して、実際に行動できるところまで落とし込みます。

このようにすると、調理の苦手な方もレベルが上がって、上の人に注意されることがなくなりました。

病気の相談のことで、実務を教えることは、変なようですが、パシッと解決できるなら、傾聴のカウンセリングより、教えた方がよいことがあるのです。

自分に教えることができないことは、別の専門家に教えてもらうことを推奨しています。

一方、私の治療は、調理のようにうまくいきません。

人は、それぞれなので、大まかな判断はできても、同じ薬を同じ量投与したら、同じようによくなるという保証は全くありません。

ここが、マニュアル化できないところです。

大きな流れは意識しています。
しかし、詳細な部分は、具合を見ながら、調整していく必要があるのです。