2020年2月19日
異なる科の相談をされることも多くあります

私が診察している科は、精神的な疾患に主に的を絞っています。
他のところでもそうでしょうか?

 

別の診療科の質問をされることがけっこうあります。
諸先生方においては、自分の領域でない部分は、あっさり話をしない方もおられます。
相談されても自分では解決できないことと、時間の関係にもよると思います。

私自身も明らかに専門外の意見を求められていて、しかも長い待ち時間で不満が高まっている状況では、そうした話を早く切り上げることがあります。

一方、いくらかの時間がとれると思った場合は、自分の助言できるかどうかは別にして、話は聞きます。
そうした身体科の専門の話をされる場合に、いくつかの心理パターンがあります。

・助言が得られないと分かっていても、不安だから、話だけでも聞いてほしい

・無理かと思うが、藁をもすがる思いで、訊ねてみた

・どこかに受診する前に、どうしたらいいか、どこを受診するかを知りたかった

というパターンが多いように感じます。

 

徒労話に終わることもありますが、中には聞いてよかったという例もあります。
しかるべき所に受診できて心配している症状が改善した例があります。

逆に必要以上に不安を感じる方には、医学的知識を説明して、結論だけを伝えている先生の意見をこちらで解釈して伝え直すこともあります。

例えば、甲状腺の病気のある人で、手が腫れている人がいて、関連性について、「おそらくほぼないだろう」という簡潔な意見を解説します。

甲状腺の病気が悪性だとしても、その影響が出現する確率にはパターンがあります。
1つは、隣接した部分に浸潤していくこと。
それは、病巣の近くです。

一方、リンパや血液にのって細胞が流れて病巣を作る場合には、流れに沿う臓器に影響が出やすい。
だから、そうした段階を経ずに、末梢の手にいきなり転移してくるのは、0%とは言えないまでもかなり不自然であるとお伝えしました。

こうしたお話は、単に「安心してください」というより、説得力を持ったと思います。

 

また、かなり前のある時期に、「念のために」と血液サラサラの薬を投与された方がおられます。

その薬はそれから続けて処方されていて、現在、必要なのか、そうでないか分からないと懸念されています。
ある医師に尋ねた時、「それは自分が出した薬ではないから、やめていいかどうか説明できない」と言われたそうです。

それは、その通りだと思います。

現在、高齢となっているその方にとって、必要ないかもしれませんが、脳外科にかかっていることを考えると、脳梗塞の発症率を下げているかもしれません。
だから、薬をやめていいのかという不安もあります。

その方にとってつらかったのは、歯科受診で抜歯をした際、血液サラサラの薬の影響で、出血が多く、かつ血が止まりにくかったという経験が記憶に強く残っています。

そうしたことを聞いて、
「私自身は、血液サラサラの薬を中止してくださいとは言えません。
 でも、手術や組織を切る治療が見込まれる時には、1週間ほど、その血液サラサラの薬を抜いた方がいいでしょう」

ということを助言しました。
そして、それは、手術する医師に伝えた方がいいということも加味しました。

 

不安がすべて解消されたわけではありませんが、ある程度、納得されました。
それは、薬のベネフィット(利益)とリスクを再確認したこと。
その薬のリスクに対する対処法がより理解できたこと。
そういう利点があると思います。

こういう時は、だれの咎も述べず、よりよい対処法を示すことができた点がよかったと思います。

精神的な疾患を診ているようで、それだけではないのです。
私にもっと実力があれば、総合診療科レベルのことができるのですが、そこまでには至らないことをご勘弁ください。