2020年7月12日
精神疾患はペットにもあるのか?

現在、日本人の死因の第一位は、「悪性新生物」となっています。

悪性新生物は、一般には癌と考えてよいのですが、白血病、悪性リンパ腫、肉腫などもこのカテゴリーに入るため、医学的な用語では、癌と同義ではありません。

私は、未成年の時、「動物にも悪性新生物が発生するのか?」という素朴な疑問を持ちました。

当時は、インターネットで検索するような便利なツールはありませんでした。
そのため、本と人づてで知識を得ました。

動物にも悪性新生物、あるいは癌は存在します。

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昔は、人間が食べた残り物をペットのエサとしていました。
塩分は犬や猫の腎機能を破壊し、糖質は耐糖能異常を引き起こし、概ね10年以内にペットは死亡していました。

後にペットフードの開発が進み、ペットに必要な栄養分を満たし、有害成分を少なくしたことで、ペットの寿命は大幅に伸びました。

近年では、小型犬の平均寿命は15歳くらいとなっています。

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さて、ペットの寿命の延長により、死因のランキングも変わってきました。

近年における犬の死因ランキングの上位は以下のようになっています。

犬の死因1位:悪性腫瘍
犬の死因2位:心臓病
犬の死因3位:腎不全

これって、人の死因に似てきたのではありませんか!

日本人の死亡原因

1位:悪性新生物
2位:心疾患
3位:脳血管疾患
4位:老衰
5位:肺炎

となっています。

人と犬の死因の1位、2位が一致したのです。

犬の心疾患については、先天性の病気やフィラリア症があります。
その分、心筋梗塞による死亡は人間より少ないかもしれません。

とはいえ、悪性新生物あるいは悪性腫瘍が第一位となったことは、興味深いことです。

人とペットの病気は、完全に一致することはありませんが、同じような様相を呈してきているのかもしれません。

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さて、前置きが長くなってしまいました。

犬や猫にも精神疾患が存在します。

・うつ病
人にみられる「うつ病」もペットにも起こります。

やはりストレスをためこむと、発症リスクが高まります。

・不安障害
ペットが不安を感じることは当然あります。

愛情を持っている飼い主では、ペットが以上に不安に感じているかどうかを判断することもできるでしょう。

・PTSD
人が動物に対して虐待することがあります。
人間に対して起こりますので、さらに弱いペットにそういう行いをすることもあるでしょう。
ペットに対する虐待は、人より見つけにくく、犯罪とみなすことも難しいのが実情です。

・強迫性障害
犬の精神疾患で多いようです。

自分の足をずっと舐めているというのは、動物の行為かと思いきや、精神症状かもしれません。

自分の尻尾を長い時間追いかけている場合は、その可能性が高いようです。

・精神病
犬にも精神病があります。

しかし、生育歴により、精神病にみえる場合があります。
動物は、言語化することができないため、人より鑑別診断が難しくなります。

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動物の治療薬

ペットを治療する場合、薬の多くは、人に対する治療薬が使用されます。

不思議に思う方もおられるかもしれませんが、理にかなっています。

・動物用に開発するより、安全性と有効性が確認されている、既存薬を使う方が新規に開発するより安くつく

・そもそも人間用の薬は、製造承認が下りる前の段階で、動物実験で検証されている。

 つまり、逆も可なりなのです。

 動物特有の病気とその治療薬は別に用意されています。
 そうした特殊な薬以外は、点滴も含めて人に対して承認されているものが使用されています。

 うちの愛犬は、1ヶ月ほど前、一時的に危篤状態となりました。
 そのため、一生薬を飲むことになっています。
 1つは、人間に使う薬、もう1つは犬特有の薬。

 もし、犬特有の心臓の薬が手に入らなくなったら、似たような作用のある人の薬で代用することも考えています。